【第5話】絶対に許せないこと
全教科、全単元、ぜーんぶ初めて。
当たり前ですが、ぜーんぶ教材研究しなきゃならない。
教師ですから、教科書に書かれていること全部を教えることができなければいけない。
「白地図」なんてやらせるくせに、オレはすべて埋める自信がない。
「県庁所在地」なんか、子どもたちのほうがよく覚えてる。
子どものころ、もっとちゃんと勉強していればよかった...(T_T)
ということで、必死に教材研究しなければなりません。だって
「先生」ですから。
教科書ってつまらないでじゃないですか、正直。
だから、どうやったら面白く勉強できるかなって考えるわけですよ。
5年生社会【日本の国土と人びとのくらし】
○ 日本の国土に関心をもち,世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置,日本の位置 と領土,日本の地形や気候の概要,自然条件から見て特色ある地域の人びとの生活につ いて意欲的に調べ,国土に対する愛情を育てることができるようにする。
○ 世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置,日本の位置と領土,日本の地形や気候 の概要,自然条件から見て特色ある地域の人びとの生活について,地図帳や地球儀,統 計などの各種の資料を活用して意欲的に調べ,国土の環境が人びとの生活や産業と密接 な関係をもっていることを具体的に考え,白地図にまとめたり,日本の位置を世界の広 がりの中でとらえて表現したりすることができるようにする。
○ 世界の大陸や海洋と日本の国土との位置関係や,日本は周囲が海に囲まれた島国であ ることなど日本列島の特色,日本の地形や気候の概要,自然条件から見て特色ある地域 の人びとの生活について理解できるようにする。
こんなの読む気なくなります。ただ、
白地図にまとめる
ってことはわかりました。
「なにしよっかなぁ〜」
いっつもこんな感じ。だって、教科書だけで授業してるとつまらないから。
もちろん、何も思い浮かばなときは教師用指導書※に頼ります。
【※教師用指導書:先生が授業時に参考にする本で、板書の仕方、問題の解答、
教科書の内容の詳しい解説、テストの出題例などが書いてあります。
意外と高価な物で、教育関係者でないと入手が困難なのに、メ◯カリ、ヤ◯オクなどでも販売されていました】
ということで、社会の単元は、自分の興味がある都道府県の「旅行ガイド」を作成し、日本の国土を勉強していくことにしました。
旅行ガイドですから、その土地の特徴、観光地、特産品や名産品などを調べなければなりません。
そういったものは、図書室の資料やインターネットで調べられますが、意外と厄介だったのが、
「交通手段」
ネットで簡単に調べることができますが、イマイチ距離感とか所要時間とかイメージが難しいようです。
だって、子どもって「あと何分で着く?」ってよく言いますよね。
そういうときに生き生きとしているのは「電車好きな子」です。
「九州新幹線はまだ鹿児島ルート開通してないからなぁ…」
「い、いけちゃん、どこそれ?」
「・・・・・。」
「あのー、北海道まで新幹線で行けますかね?」
「八戸までしか行けないよぉ!」
「すげー詳しいなぁ!いけちゃんやるねぇ」
勉強が苦手で、少し個性が強めな池田くんは、クラスの中でも少し浮いてしまうところがありました。
なので、そんな場面を見かけるたびに、言葉かけを多くしたり、わざとちょっかいを出したりしていました。
彼は特別なんじゃないと、クラスの子たちにアピールするように。
でも、やっぱりそんなことだけじゃ防げないですよね、
「いじめ」ってやつは…