【第3話】ターニングポイント
「おねーさーーーん!生みっつーーー!」
来てしまいました…
しかも、おばさんを「おねーさん」と呼ぶ体育会系女子…
駅前の美味しい飲み屋〜漁火〜
旬のおつまみやお魚がおいしいのなんの♪
仕事はたっぷりあるんですけどね…(T_T)
「乾杯!」
「かんぱーい」
「かんぱーーーい♪♪♪」
先輩方ふたりは余裕の表情でグイグイいきます。
もういいやと思い、オレも腹をくくりました。
「やっぱさー、素敵な学年にしたいよねー」
牧先生の第一印象は厳しそうな人だったのに、だんだんと口調がくだけてきて、教育論を熱く語り始めました。なんだか、これからの2年間が楽しみになってきました。
「アタシ、爆弾※独り占めするから♪」
岡本先生はというと、食べまくっています…
そして、飲みまくっています…
しかも、爆弾独り占めですから。オレと牧先生は仕方なくもう1つ頼み、ちゃんと分けました…
【※爆弾:お刺身のブツ切りと、納豆やオクラ、山芋などのネバネバ食材に、卵をどーんとのっけただけの、豪快な料理です!】
お酒を飲みながらでもできるもんです、学年会。むしろいいかもしれません。だって、
発想がどんどんヤバくなっていくから
「こんな授業をやってみよう!」と、いろいろアイデアがわいてきます。オレも酔ってきたのか、だんだんとゾーンに入っていき、気づけば学習指導要領※のことなんか無視した授業プランを熱く語ってしまいました。すると…
「いいねぇ〜、素敵だね〜それ」
牧先生…(T_T)
いいんすか、マジで。
【※学習指導要領:全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めています】
「法の盲点」という言葉が、オレたちの合言葉になりました。悪巧みではありません。面白いことを思いついたら、それを学習指導要領と照らし合わせて、いけるかどうかを相談するという。
いえ、先輩二人は経験の中からちゃんと考えていたのでしょう。オレは子どもたちが喜ぶんじゃないかと、ただただ「おもしろいこと」ばかり考えていただけです。
そんなオレを両側から優しく支えてくれて、本当にいい学年に恵まれたなと思いました。
「ねぇーさーん!オレの爆弾食ったでしょー!!」