【 ブログ ライトノベル 】ありがとう、先生って呼んでくれて。

教師は生徒に恋をしろ、そしてその恋、忘れるな。愛する人を忘れない限り 、人は道を踏み外さない。

【第8話】チョークを持てない教師はどうすればいい?

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「折れてますね〜」

 

お、折れてる?

 

「早速やりましょう♪」

 

理由は言えませんが、やっちゃいました。

右手第4中手骨骨折 全治2ヶ月

 

患部と脇の下に麻酔を打ち

骨の中にピンを刺すとのこと。

 

しかもドリルで…(T_T)

 

ぎゅいぃぃぃぃぃぃんん!

 

「このドリル曲がってるなぁ♪」

 

いやいや、全身麻酔じゃないから丸聞こえなんですけど…

右手を握っているけれども、指は伸ばしたままという不自然な形できっちりギプス固定され、包帯でぐるぐる巻き。

 

まるでドラ◯もんの手。

 

授業どうしよう…

 

1.板書しなくていいようにプリントを作る。

2.生徒に板書してもらう。

3.左手で書く。

4.右手にチョークを縛りつける。

5.授業しない。

 

5以外は全部やりました。

 

事務仕事もありましたが、パソコンを使う仕事は人差し指でぽちぽちと。

あとは、牧先生の作った教材を拝借したり、ねーさんには背中を掻いてもらったり。

 

右手がドラ◯もんでも、体育の授業はやりました。

でも、一番困ったのは

 

着替え

 

ジャージのズボンの紐がうまく結べません。

 

「先生!オラが結んであげるよ!」

 

土田くんが声をかけてくれました。

ズボンの紐を結ぶときはいつも土田くんにお願いしました。

 

もちろんトイレのあとも…

ありがとう、つっちー。

 

給食も意外と厄介なことがあります。

スプーンは左手で持てば問題ないですし、箸も左手で使えるようになりました。

でも、どうしても苦労するのが

 

みかんの皮をむくこと

 

「あー、みかんのかわむくのたいへんだなー。だれかむいてくれないかなー」

 

「もう、仕方ないなぁ…」

 

といいつつ、きれいに白いスジまで取ってくれる智ちゃん。

 

「あーん」

 

「やだ、自分で食べて」

 

ですよね…

 

【第9話】月月火水木金金

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めんどくさいけど大切なもの

 

もちろん無駄なものもあるのですが

ちゃんとやっておくといいもの。

 

それが週案の計画。

 

一週間の指導計画を立てておくというものですが、当時はまだ手書きでした。

授業時数も電卓で計算していました。

今はもう全てパソコン管理するので、かなり楽になりました。

とはいえ、オレにとっては手書きだろうとパソコンだろうと大変な仕事には変わりはありません。だって、

 

右手がドラ◯もんですから。

 

これから2ヶ月間はこんな感じですから、パソコンでフォーマット作りました。

 

もちろん。片手で。

 

毎週、管理職へ提出しなくてはならないので、サボる訳にはいきません。

それでも、他の業務に忙殺されてしまったり、どうしても早く帰りたいことがあったりするときは、

 

「週案出てないぞぉ」

 

「あ、あとで出しますぅ…」

 

といい残し、バレないようにこそこそと退勤。

たまにサボります…

 

週案には、今週の反省として教師が記入する欄と、校長からの助言欄もありました。

 

今でこそ、「働き方改革」なんて騒がれていますが、当時、「なかなか教材研究の時間が確保できない」と書いて提出したところ、

 

「時間は工夫して生み出すものです。

1日24時間、24✕5日で仕事ができない人は、

 

月月火水木金金

 

をやるしかありません。」

 

マジか校長…

 

そこに愛はあるのかい?

 

こんな助言を書かれるくらいなら、週案なんか出したくありません。

 

 そんなある日、週案を確認すると付箋が貼ってありました。

 

「Let's party tonight 」

 

なんじゃこりゃ。

 

「ねぇーさーんっ!こんなものがぁ!」

 

と、付箋を見せに行くと

 

「アタシにも…」

 

同じものが…

 

これは、校長に飲みに誘われているのかと思い

ねえさんと校長室に確認しに行きました。

 

「校長先生!これどういうことですか?」

 

と、ねえさんがたずねると

 

( ̄ー ̄)ニヤリ

 

マジか校長…

 

こっちは月月火水木金金

やるしかねーんだよー!!!




【第10話】仕事とは思えない

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「水筒の中身、紅茶はいいのぉ?」

 

「 ”茶” がつけばなんでもいい!」

 

「ミルクティーは?」

 

「 ”茶” がついてない!」

 

「牛乳紅茶ならいいのぉ?」

 

授業時間なくなるわ!



なんで遠足の事前指導はこんなにめんどくさいのか

 

何のためのしおりだ

 

バナナはおやつに入りますか?

 

という不毛なやりとりが必ずあった

 

遠足のおやつ問題

 

「おやつは300円まで」

 

なんて時代もあったのに

 

「おやつは食べられるだけ」に変わった。

 

いまでは遠足そのものがなくなり、社会科見学などのいわゆる「校外学習」の位置づけで遠足のようなことをしている学校もある。また「校外学習」なので、おやつをなくす学校もある。



ーーー当日



バスに乗り込みいざ筑波山へ!

 

「先生気持ち悪い…」

 

「失礼な!なんでオレがキモチ悪いんだよ!」

 

「もう先生ふざけないで! あやちゃんホントに顔色悪いでしょ!」

 

「あ、ごめんごめん…」



必ずひとりはバス酔いします。

 

やっと着いたと思ったら

 

「先生! ”ガマの油”※ってなぁに?」

 

(ふっふっふ、実踏※に来たときにオレも疑問に思ったから調べてあるぜ)

 

「カエルから作った薬だよ」

 

「「「きもーーーい」」」

 

(これ以上聞かれたら答えられなかったぜ…)



【※ガマの油ガマの油とは、もともとは江戸時代に傷薬として用いられていた軟膏で、のちに、筑波山名物として土産物として販売されるようになったワセリンなどを成分とする商品

 

【※実踏:(じっとう)修学旅行や遠足の下見、すなわち「実」際に足を「踏」み入ることをいう。児童生徒の行動をシミュレーションしながら行うもの

 

 

 

山を登り始めると

 

最初は比較的ゆるやかな階段が続き

 

振り返ると、先ほどバスを降りた場所「つつじヶ丘」があんなに遠くに!

 

木々が生い茂る山道はさわやかで♪

 

名所のひとつ「弁慶七戻り」では、迫力のある奇岩怪石!

 

山頂手前、ゴツゴツした岩を登り...

 

 

 

もちろん片手で

 

 

 

山頂から望む関東平野

 

やっぱり遠足って本当に楽しい!



仕事とは思えない



「先生 お菓子あげる!」

「おれのもあげるよ!」

「あたしも!」

「オラのも!」

 

あっという間に、両手いっぱいのお菓子



「せんせ バナナいる?」

 

「あ、バナナは自分でお食べ…」



帰りのバスで気持ち悪くなったらどうしよう...(T_T)








【第11話】伝統を守る?

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「伝統」というものは

 

ときにめんどくさい……

 

「継承したい」

 

そういう想いがなければ

 

かなりめんどくさい……

 

 

5、6年生合同の「御神楽※」それが本校の伝統らしい。6年生主導でやってくれるのでなぁんにも考えなくていいから

 

楽チン♪

 

【 ※御神楽:岩手県南部から宮城県北部一帯に伝わる南部神楽の一演目です。百姓神楽とも呼ばれ、農作祈願や自分達の楽しさのために踊られてきました。

右手に錫杖(しゃくじょう:鈴のついた棒)、左手に扇を持って踊ります。鈴の軽やかな音と、扇の美しい動きが特徴の踊りです

 

とはいえ、御神楽を覚えないとなぁ…

 

「ねえさーん、御神楽やったことあります?」

 

「ないよー」

 

「牧先生はあります?」

 

「見たことはあるよ」

 

ダメだこりゃ。

 

オレが覚えないと…(T_T)

 

  

いまはYouTubeがあるからいいけど、当時はVHSのビデオカセットテープ。ちなみにVHSは「Vide Home System」の略。

 

教室のテレビにビデオをつないで、お手本ビデオを再生!

 

ぽちっ▷

 

・・・・・数分後 

 

「休憩する?」

 

「子どもにこれを見せたらいいんじゃない?」

 

ちょっとぉ!

 

まじっすか?!

 

たしかに、牧先生のプランは名案で、とても魅力的だと思いましたが、なんとかひと通り覚えることができました。

 

ふたりはわかりませんが…(T_T)

 

腰を深く落とすので筋肉痛になりました。

 

練習が始まると、子どもたちも筋肉痛になっていました。やっと治りかけていたオレは

 

なるべく踊らないようにしてました。

 

たしかにラクな運動会でしたが

 

なんかこう

 

達成感ないんだよな…

 

運動会が終わって思いました

 

オレ、組体操やりたいな

 

来年は組体操やろう(これはまたいずれ)

 

伝統なんかやめちゃう♡

 

 

 

【第12話】好きな人同士 恋愛のススメ.+*:゚+。.☆

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「いつになったら席替えするのぉ?」

 

新年度がスタートしてから席替えするの忘れてました。

始めは名前を覚えるために50音順にしていました。

 

” 3日で覚えっからよ! ”

 

なんて、言いつつ忘れてました…

 

席順なんてどうでもいいんですけど、子どもたちは飽きてしまうようです。

だから、日直が一巡したら席替えをするつもりだったんですけどね。

 

二巡目に入ってました…

 

席替えのルールとしては

 

座席は必ず男女が隣になること、これだけ守ってくれたらいい。

 

男女が仲のいいクラスは雰囲気もいいから

 

もちろん、黒板が見づらいとか、オレの声が聞き取りづらいとか、オレを近くで見ていたいとか、ずっとそばにいたいとか、そういうところはすっごく大事だけど。

 

さて、席替えの方法にはいくつかあります。

 

1.くじびき

いわゆる「くじ」、あみだくじもある。くじをつくるのがめんどくさい。

発表を盛り上げようとすると、ついつい楽しくなり、時間がかかる。

 

2.お見合い

男子(女子)が廊下で待っている間、女子(男子)は相談して席を決める。

決まったら交代する。決まったら、一斉に席移動する。

 

3.指定席

オレが決める。

ノークレーム・ノーリターン。

いろんなコントロールが可能だが、敵を作る可能性がある。

 

4.フリー

ルールは男女隣同士のみ

時間制限あり

あとは勝手にどうぞ



「で、どうやって決める?」

「くじびきー!」

「お見合いー!」

 

「好きな者同士ー!!」

 

( ̄ー ̄)ニヤリ

 

「ちょいちょい、なおやくん、好きな者同士かぁ♡」

 

「その ” 好き ” じゃないよ!」

 

「別にいいんだぜ?その方が盛り上がるじゃん♡」

 

「やだよ、言うわけ無いじゃん」

 

「つーことは、このクラスにいるんだね♡」

 

「いねーよ!」

 

「なぁ〜んだ、つま〜んね〜の〜」

 

このやりとりをしている間、美沙がキラキラした目でずっとオレを見ていました。

 

「アタシ、好きな者同士でいい!」

 

これはどうやら ” 好き ” な者同士です。

ここで、肉食系女子の彼女だけにチャンスをやるわけにはいきません。

他にもライバルがいそうだったから。

 

「じゃぁ、席替えの方法は、明日の朝にでも多数決を取っといてくれ」

 

登校してから職員朝礼が終わるまでの時間は「読書タイム」として、静かに着席してオレが来るのを待つということにしているのですが、このように「学級会」をやらせることもよくありました。

 

…で、結局くじ引き。

 

すでに「くじ」も作ってありました。えらすぎる。

 

「ねーねー、オレのくじもある?」

 

「先生のはないよ?」

 

「オレも席替えに混ざって、教卓※も移動させて、教卓の場所も座席のひとつにしようか!」

 

「絶対おかしいでしょ!」

 

おもしろいと思ったのですが…

いつか必ずやってやろう。

 

 

【※教卓:教室の前にある教師用の机。1996年4月にフジテレビ系で放送されたドラマ「みにくいアヒルの子」では、教室の真ん中に教卓を配置していた。主演は岸谷五朗

  

 

「じゃ! 一斉に! おーぷーんっ!」

 

黒板に書かれた座席表を確認しながら席移動!

 

「一番前じゃーん、やだなー」

 

「んなこというなよ、オレをそばに感じられるぜ?」

 

「別にいいし」

 

「本当は嬉しいくせにぃ〜♡」

 

「うざい」

 

いつか必ず教卓の場所に座らせてやる!

【 第13話】ディズニーの秘密 act1

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みんな大好き

夢と魔法の国ディズニーランド。

子どもたちの持ち物も

ディズニーキャラクターばかり。

 

「ねぇねぇ、先生!」

 

チップとデールって知ってる?」

 

「あぁ、あの2匹のリスでしょ?」

 

「どっちがチップで、どっちがデールか知ってる?」

 

「オスがチップで、メスがデールだろ?」

 

「ちがうよー、濃い茶色がチップで、鼻が赤いほうがデール♪」

 

「ふーん」

 

「覚え方はね『チョコチップ(茶色)食べて、鼻血デール(鼻が赤い)』ね!」

 

「で、どっちがオスで、どっちがメス?」

 

「………。」

 

「なんだよ、知らないの?」

 

「可愛いからいいのー♪

 

答えになってないけど……

休み時間にこんなやり取りで盛り上がってしまい、ついつい3時間目のチャイムが鳴ったにもかかわらす、ディズニートークは止まりませんでした。

 

まぁ、いつものことですが…

 

全員が揃ったところで聞いてみました。

 

「みんなの漢字ドリルの表紙って、ミッキーさんじゃん? そんなに好きなの?

 

「先生たちが決めたんでしょ!」

 

そうでした。新年度のはじめに……

 

「ドリルどれにするー?」

 

「中身大して変わんないからね」

 

「じゃ、ミッキーさんにしよう♪」

 

と、先輩方が表紙で選んだのでした……



「ミッキーさん嫌いな人っている?」

 

男子は「どうでもいい」「好きでも嫌いでもない」「ディズニーランドは好き」なんて答えていましたが、ミッキーさんを嫌いな子はいませんでした。

 

「ミッキーさん、上半身裸じゃん? ズボンしか履いてないんだぜ? いいのアレ? もし、オレが赤い半ズボンしか履いてないで授業してたらどうよ?」

 

「「「「「キモいー!!」」」」」

 

いやいや、ミッキーさんはいいのかい。世界的な人気者は得だな。こうなったらディズニーの魔法から目覚めさせてやる。

 

「じゃあさ、なんで、ミッキーさんは上半身裸か知ってるか?」

 

もう、止まりません……

 

3時間目は国語なのに……

 

話し合い活動でいっか。

 

 

【 第14話】ディズニーの秘密 act2

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「じゃあさ、なんで、ミッキーさんは上半身裸か知ってるか?」

 

「どうせまた変な事言うんでしょ!」

 

どうせって言うな、どうせって。

ディズニーファンを敵に回すかもしれませんが

まぁ、変な事言うつもりです。

 

「ミッキーさんが裸なのは、ありゃプーさんにあげたんだよ。赤いシャツをね」

 

「……プーさん、赤いシャツ来てるもんね」

 

「だろ? じゃ、なんで、ドナルドダックはズボン履いてないと思う? 今度は下半身裸だぜ? 丸見えだぜ? 変態度上がったぜ?」

 

「やだー!私ドナルド好きなのに!」

「「「なんでなんで!」」」

 

「知らん」

 

「なんだよ先生!知らないのかよ!」

 

「知らねーわ!んなもん!」

 

子どもはこれぐらいの下ネタ大好きですから。もちろん、信頼関係あってこそ。何の信頼関係かよくわかりませんが……

 

ちなみに、子どもの笑いをとる三種の神器のキーワードは、う◯こ、お◯っこ、お◯らです。鉄板です。

 

「じゃあさ、" グーフィー "って、どういう意味か知ってる?」

 

「知らなーい」

 

「" グーフィー "ってさ、" まぬけ "って意味なんだよ」

 

「へー!」

 

「ピーターパンっているだろ?」

 

「うん」

 

「あいつさ、フック船長の左手を切り落としてワニに食べさせたんだぜ?しかも、反省すらしていない。ヤバくない?」

 

「ヤバい奴じゃん、ピーターパン」

 

「まだあるけど、聞く?」

 

「もう、いい……」

 

「先生なんでそんなに知ってるの?」

 

「なんでって?そりゃあディズニーランドが大好きだから♡」