【第7話】イジメを無くす方法 act2
「いい天気だなぁ〜 校庭で遊ぶかぁ♪」
と、遊ぶ気なんかないのに。
子どもたちは今日も複雑な表情。
教室の空気もどんよりと思いまま。
「先生、いつになったら4人戻すの?」
「さぁ?」
1組と3組に留学中の4人は笑顔を見せることもあったというのに、2組の子たちはオレがつくり出す重苦しい空気に耐えられないようです。
2組の子たちがこんなにオレに「イジメられてる」のに、反省している様子が見られない4人を許す訳にはいきません。
イジメられた子の気もちは理解できると思うんです。
「ごめんなさい」なんて、簡単に口にできると思うんです。
なんでオレが怒っているのか、そんなことを分からせたいんじゃないんです。
分かってほしいのは
イジメた人間はどんなふうに見られるか
イジメは周りの人も悲しませること
そんなことも考えてほしかったのかもしれません。4人だけじゃなくて、みんなに。
当時はそこまで考えてないですけど
「あっちゃん、先生に謝ったら?」
「許してくれないよ…」
女の子たちが動き出したようです。廊下の隅でこそこそ話しています。
「しょうた達も考えなよ!」
「…わかってるよ」
女子がんばれ!男子しっかりしろ!と、心の中で思っていました。
あーちゃんが聞いてきました。
「先生、どうしたら許してあげるの?」
(ん? オレが許すんじゃないよな…)
「それを考えてほしいんだけどね」
先生っぽく言ったつもりでしたが、何も思いついていませんでした。
もっといい答え方があったかと思います。
昼休みに4人そろってやってきました。
「ごめんなさい…」
(おせーよ!)
「オレはいいよ、いけちゃんとクラスのみんながどう思うかね」
本当は「楽しかったみたいじゃん」と、ねちねちいこうかと思ったのですが、やめときました。だって、早く戻ってきてほしかったから…
5時間目は「道徳」にしました。
4人が語り、クラスのみんなで話し合いました。
「傷つく」とか
「嫌な思いする」とか
「恥ずかしい」とか
言葉での表現はそんなもんですけど、心のなかにきっと何か残してくれたはず。
「別にさ、いけちゃんに謝れなんて言わねぇよ。4人だけじゃなくて、このクラスがこれからどうなっていくか、それを見させてくれよ。いけちゃんもさ…が、がんばろ?」
いけちゃんへの声かけは、うまいこと言えませんでした…(T_T)
4人はその後どうなったか
どうやら、ちゃんと謝ったようです
クラスはどうなったか
いけちゃんはあいかわらずです
ただ、イジメみたいなのはありません
担任が率先してイジってますけど
愛をもって。